お知らせ

15.地域の共有財産に

10年前、私たちの法人が新しくデイサービスと有料老人ホームを建設するために、地域住民の方に説明会を開きました。そこである70代の女性が「そんなに良いお風呂があるなら、私も入れてください」と発言されました。おっしゃるには、1人暮らしで毎日お風呂を沸かすのはもったいなく掃除も大変、すぐ近くにできるのなら私も入りたい―との趣旨でした。
しかし、元気な一般住民の方に、私たちのデイサービスを使っていただくことができません。何とか希望に応えようと悩んだ末、夕方、デイサービスの提供時間が終わった後に「公衆浴場」として保健所に届ければ可能ではないかと考え、やってみることにしました。公衆浴場として使えるように設備をして、無事に夜間のみの公衆浴場になりました。その女性を始め、数人に通ってもらうようになりました。
今まで多くの施設は「地域の仲間に入れてください」と言ってきました。努力もしてきましたが、それだけで良いのでしょうか。もっと積極的に地域の役に立つ存在、地域の利益になる存在になっていく必要があると思います。
私たちが昨年始めた施設では、保健所に食品衛生法の届け出をし、地域のお茶のみ場として、カフェを始めました。営業的に成り立たせようとしているのではなく、地域の利益になることが、施設の存在価値につながると考えてのことです。
全国的にもさまざまな取り組みが始まっています。災害時の福祉避難所として市町村に指定してもらったり、公民館の代わりに自治会の集まりに使ってもらったり、施設に児童館を併設し、子供たちに宿題をしてもらったり―などの活用がされています。
施設が地域の共有財産になっていければいいなと思っています。