お知らせ

9.虐待被害の増加

2014年度の施設および施設職員による高齢者虐待についての調査結果が、厚生労働省より発表されました。虐待件数は300件、虐待の疑いがあるとの相談・通報件数が1120件と前年に比べて急増しました。これは件数であり、1カ所の施設で複数のご利用者への虐待があったり、虐待疑いの相談・通報があり市町村が調査したものの虐待の判断に至らなかった例が約310件あります。実際には、虐待被害に遭っているご利用者はもっと多くになります。私たち介護保険事業に関わる者は、大変深刻な問題として捉えなければなりません。
施設や職員による虐待は、何の前触れもなく突然起こることはありません。日常の中で不適切なケアを行い、不適切な関係性をつくってきたことが、さまざまな出来事をきっかけに虐待として表面化していくのです。
不適切なケアの例を具体的に示します。
・施錠をして、外に出られないような環境をつくる。
・食事や排せつ、入浴の支援を一律に時間を決め集団で行う(一律ケア)。
・食事を無理やり食べさせたり、食べていても時間になると勝手に下げたりする。
・人前で「おしっこ出た?」などと聞かれる。
・幼児扱いした言葉や態度でケアされる。
・職員を呼び止めても「ちょっと待ってね」と言って、立ち去ってしまう。
・外出の機会が極めて少ない。できても集団外出のみ。…など、など。
そしてこれらが、施設の中で問題だと認識されず、仕方がないと容認されている問題があります。それは「人に関わる」ことよりも、「業務優先」の表れです。こうしたケアを行っている施設では、不適切なケアだと気づき、促しや訓練を進め、問題だと認識しなければなりません。施設内だけで通じる常識をなくし、世間の常識が通用するようにしなければなりません。私たちの仕事は、ご利用者と関わることです。不適切ケアを減らしていく努力が常に求められます。