お知らせ

19.自分が使いたいサービス③

私が利用したい施設を考える時、「お金が自分で使えるか」は基準の一つです。
皆さんは自分のお金を使う際、誰かに口出しをされたらどう感じますか? 入居施設では、管理上の問題から施設にお金を預け、管理してもらう例が多くあります。
ご利用者が「私のお金を出してください」と言うと、職員は「何に使うのですか?」と言ってしまいがちです。職員には何の悪気もなく、むしろ善意でこのような言い方をしてしまいます。
言われた人はどう思うでしょうか? 決してうれしいことではないと思います。大人になった私たちは普段、第三者からお金の使い方を口出しはされません。善意でそれをしてしまう職員は、お金の所有者は誰なのかを間違えていることになります。ご利用者を一人前の人として見ていないから、いちいちお金の使い方に口を出してしまうのです。
私たちの施設では、一部やむを得ない事情の人を除き、お金を預からない方法を取っています。ご家族からは「手間だから、施設で通帳を作って職員の側で管理してほしい」との要望も多くいただきますが、お金の管理はご利用者とご家族、または成年後見人にお願いしています。
ですから、部屋に鍵があり自分で保管できる場所が必ず必要になります。そして、何よりも買い物をはじめお金を使う機会がなければなりません。在宅サービスのご利用者で、施設に来た際に「銀行に行きたい」とおっしゃる方がいます。そしてその時に「銀行に行ったこと、家の者に内緒でね」と言われます。皆さんも、こうした気持ちは分かりますよね。
最近は「買い物難民」の話題がよく取り上げられます。この問題を考える時、必要なものが手に入ればよいのではなく、「買い物をする権利」が伴い、買い物欲求が充足することが大切だと思います